開店ギリギリまで工事が必要?店舗デザインの現場でよくある残工事とは
工事といえば、引き渡しが済めば終わりというイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。しかし、実際は必ずしもスムーズにいくとは限りません。天候や地形、予算などあらゆる要素に左右されるため、工事にはイレギュラーがつきものです。今回は、もしものときに困らないため覚えておきたい用語のひとつ、残工事について解説します。
施工から引き渡しまでの流れ
残工事について解説する前に、その前段階である施工から引き渡しまでの流れについておさらいしておきましょう。施工から引き渡しまではいくつかのステップがあり、施主であるクライアントが立ち会う場面もあります。
細かい部分は場合によってさまざまに異なるので、工程について不明なことがある場合は遠慮なく業者に確認しておくのがベターです。
契約から竣工まで
業者とクライアントで話し合いがまとまり、店舗デザインの内容や金額が確定すると、いよいよ着工です。既存の物件の内装のみの施工でも、クロスやパーテーション、インフラ関係など手を入れる箇所は多岐にわたります。
工事が終わり、竣工検査を無事クリアすると、引き渡しに移ります。引き渡し前には施主の立会い検査があるので、可能であれば専門家も同伴のうえ、細かい部分までしっかりチェックしましょう。
引き渡しから開業まで
立会い検査で問題がなければ、あらかじめ決められた引き渡し日にそのまま引き渡しとなりますが、まだ完了していない部分がある場合は残工事リストが渡されます。残工事が終わると、ようやく晴れて開業をできるようになります。
残工事ってどんな工事?
残工事は、工事のうち引き渡し日までに完了しなかった工程を指す言葉です。そのため、内容は通常の内装工事と変わりません。残工事にあたるのは当初の契約内の工程に限られるので、追加料金が発生することは普通ありません。
また、残工事がある場合は残工事リストのほかに念書を渡されることもあります。残工事が発生する理由は、状況によりさまざまです。主なケースは以下の2点です。
天候などの不可抗力による残工事
多い例としては、天候などの不可抗力によるイレギュラーがあります。雨や風によってはどうしても工事ができない日もあるうえ、地震や台風の多い国である以上、自然災害に巻き込まれてしまうこともあります。
無事に竣工すればそれに越したことはありませんが、もしものときに備えて着工時期がどの季節にあたるのか、予定地周辺はどのような地質や気候をしているのか程度は頭の片隅に置いておくとよいかもしれません。
クライアント側の都合による残工事
また、クライアント側の要望で着工時期をあえて遅らせたり、着工後にプランを変更したりすることにより残工事が発生するというケースもあります。もちろん業者側も納期に合わせるためにベストを尽くしていますが、あまりにも急なプラン変更の場合は納期をオーバーしてしまうということも少なからずあります。
実際の施工現場を目にしてから新しいアイデアが浮かんでくるのは店舗デザインをするうえで避けられないことでもありますが、その場合も納期内で対応できるかどうかはしっかり確認してから依頼しましょう。
是正工事や追加工事とは何が違うのか
ひとくちに工事といっても、多くの用語が存在するため、どの工事を実施すればよいのか最初は戸惑ってしまうかもしれません。なかでもとくに残工事と間違いやすい是正工事や追加工事が、どのように異なっているのか見てみましょう。
是正工事とは
是正工事とは、施工完了後の検査で不備があると判断された部分に実施する工事のことです。残工事とは違い、あらかじめ予定されるものではなく、不備があった場合にのみ行われます。
専門用語では駄目工事とも呼ばれ、安全性や長期的な運用のために不可欠な工程でもあります。似たような用語として、建物自体のグレードアップを図る改修工事、老朽化した建物を新品同様に戻す修繕工事、経年劣化した部分を一時的に補修する補修工事がありますが、いずれも残工事とは異なります。
追加工事とは
残工事が契約内の工事を指すのに対し、追加工事は契約後にプラスで必要になった工事のことをいいます。こちらは不備に対する工事ではなく「この建具も追加したい」「柵を伸ばしたい」といったクライアントの追加希望に対応するものです。
本来は追加料金が発生するものですが、少しだけなら無償で対応してくれる業者もいます。その裏返しか、料金をめぐってトラブルになりやすい工事でもあります。もし追加工事を行う場合は、料金はどちらが持つのか、いくらかかるかといったこともしっかり話し合って明確化しておきましょう。
まとめ
冒頭でも書きましたが、店舗デザインにおいて残工事などのイレギュラーが発生するのは決して珍しいことではありません。もし残工事をすることになっても慌てないですむように、余裕をもったスケジューリングにしておくのがおすすめです。
納期がタイトすぎると、深夜にも工事をすることになったり、金額が高くなったりします。見積書と同時に工程表も渡されるので、こまめな進捗のチェックも欠かさないようにしましょう。ピカピカの状態で開店の日を迎えられるよう、万全の準備で臨んでくださいね。